水圏生物病理学研究室

魚病学は、これまで養殖産業の発展に大きく寄与してきました。最近では、水族館や自然水域に生息する魚介類なども魚病学の研究対象となっています。しかし、分布や感染機構が明らかとなっている魚病の病原体は限られています。また、魚病の発生と密接に関わる水族の生体防御機構やストレス応答に関する研究も発展途上であり、有効な治療や予防法が確立されていない魚病も数多く残されています。本研究室では、養殖産業や水族館、自然水域に生息する生物保全への貢献を目指し、魚病の発生機序や予防法に関する研究に取り組んでいます。
養殖場のニジマス、河川に生息するアユ、レプトセファルスの人工種苗などに魚病を引き起こす病原体に関する研究に取り組んでいます。また、水族館の飼育魚介類でみられる魚病の診断や治療研究に参加しています。養殖魚では治療に使用できる薬剤が限られるため、魚類の生体防御能を向上させることにより感染症を予防する、免疫賦活剤やプロバイオティスクに関する研究も進めています。(間野伸宏准教授)。
病原体が感染した時、我々の体内ではその病原体に対する抗体が産生されます(獲得免疫、液性免疫と呼ばれます)。ワクチンは弱らせたり不活化した病原体等を接種し、抗体産生を誘導することで病原体の感染を防ぐ狙いがあります。この抗体産生には、リンパ節や粘膜関連リンパ組織と呼ばれる部位がとても重要な役割を持っています。しかし、魚類はリンパ節や明確な粘膜関連リンパ組織を持たず、感染時やワクチン接種時にどこで・どうやって免疫が活性化し、抗体産生が誘導されるのかわかっていません。そこで、魚類では感染が起きたりワクチンを接種した場合にどこで免疫が活性化し抗体産生誘導が起きるのか?を明らかにすることを目的として研究に取り組んでいます。また、抗体産生誘導はどのように起こるのか?を細胞培養の技術を用いて再現することにも取り組んでいます(柴﨑康宏 助教)。

教員

間野伸宏 准教授

担当科目
水族育成学(1年次)/ 水族館論(1年次分担)/ 海洋基礎実習Ⅱ(1年次分担)/水族病理学(2年次分担)/ 水族育成病理学実験(2年次)/水族生体防御学(3年次)/ 海洋生物資源科学実習Ⅰ(3年次)/海洋生物資源科学演習Ⅰ(3年次)/ 海洋生物資源科学実習Ⅱ(4年次)/海洋生物資源科学演習Ⅱ(4年次)/ 卒業研究(4年次)/展示動物医学演習(獣医学科5年次分担)

柴﨑康宏 助教

担当科目
水族生体防御学(3年次:分担)/ 生物資源科学概論(1年次:分担)/ 卒業研究(4年次)

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