研究成果のポイント
・養殖マダイの尾鰭は天然魚と比べると黒ずみ、辺縁部が欠けている個体(欠損個体)が多く見られるが、その一方で尾鰭の形が綺麗に保たれている個体(正常個体)も存在する。
・欠損個体の尾鰭には細菌感染の特徴が見られたことから、尾鰭末端の欠損は何らかの細菌が関与すると予想された。
・欠損個体と正常個体のそれぞれの尾鰭の細菌叢をハイスループットシークエンサーによるメタゲノム解析により属レベルで特定するとともに、16S rRNA 遺伝子クローンライブラリ法で種の特定を試みた。
・メタゲノム解析の結果、正常個体ではSulfitobacter 属細菌が有意に多く、欠損個体ではVibrio 属細菌が多い傾向が見られた。また、16S rRNA 遺伝子のクローンライブラリ解析により、それれらの細菌はSulfitobacter sp.とVibrio harveyi であると特定された。
・飼育密度やストレス、噛み合いなどの影響により尾鰭に傷が生じ、そこへV. harveyi が増殖し、治癒を遅らせている可能性が示唆された。また、Sulfitobacter sp.についてはプロバイオティック効果が期待できるかもしれない。

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DOI: doi.org/10.3354/dao03742

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